俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
『もしもし、翔から電話とは珍しいな。』
やたら落ち着いた声に、イライラが積もる。

「あんた果穂を何処にやった?」
気持ちが急いて声が荒がる。

『何の事だ?果穂とは、誰だ?』
なにを惚けているんだと険しい顔になる。

「あんたの秘書が果穂を何処に連れ去ったのが、防犯カメラに写っていた。
果穂は何処だ?」

『防犯カメラ?
秘書とは高見沢の事か?
あいつは先週退職した。』

「はっ⁉︎
どう言う事だ?退職……」
行き場を失って、車を路肩に寄せて停める。

『高見沢は、20年以上働いてくれたんだが、なんでも故郷の親が動けなくなって介護が必要になったと、直ぐに帰らなきゃいけないと言って突然の退職だったんだが。』

額に手を当て気持ちを落ち着かせる。
次にどうするべきか⁉︎
これは誘拐なのか?

警察に相談…いや、とりあえず知り合いの弁護士に電話か?

「はぁーー。分かった…親父は関係無いんだな…何か手が掛かりになる様な事は無いか?何でもいい、些細な事でも教えて欲しい。」

『果穂さんと言うのはお前の婚約者か?
高見沢に調べさせてはいたが…お前が俺の言う事を聞く様な事は無いと思っていた。
確か、何処の不動産会社の社長がお前と見合いをしたがってると聞いたが…会ったか?』

「親父の指示なんだと思っていた。」

『健の家出騒動はそのせいか…電話が来た時も何の事かさっぱり分からなかったが…。ちょっと待ってろ。』
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