俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
『1人でか⁉︎』
翔さんが代わって、とジェスチャーで言ってくる。

今、スマホ渡したら絶対喧嘩になっちゃう。心配な顔で翔さんを見つめる。

「大丈夫、貸して。」
翔が少し強引にスマホを持っていってしまう。
「もしもし、お久しぶりです。堀井です。」

『はっ⁉︎何で、何で忙しい社長さんが、果穂と一緒にいるんですか?』
兄のイラっとしてる声が聞こえてくる。

「今日は午前中たまたま休みなんです。
果穂さん1人で東京を歩かせるのは、心配だったので着いて来ました。」

『貴方に、心配してもらう筋合いは無いですけど。』
ぶっきらぼうに言う兄の声に刺々しさを感じる。

「ええ、そうなんですけど心配で。お昼前にはちゃんと送り届けますので、安心して下さい。」

『貴方と、一緒にいる事の方が心配なんですけど。』

「僕にとって、果穂さんはとても大事な人です。決して傷付ける様な事はありませんのでご安心して下さい。」

『何で、東京の社長さんがうちの果穂にそこまで執着するのか、からかってらっしゃるだけなら辞めて頂きたい。』

「いえ、至って本気でお付き合いをさせて頂きたいと思ってます。
遠距離なのでその事だけは若干心配ですけど、ちゃんと対策も考えてますのでご安心を。
また、近いうちにご家族の方にもご挨拶に伺いたいと思いますので、その時はよろしくお願いします。」

『はぁ⁉︎どう言う事ですか?果穂と付き合うって事ですか⁉︎』

「ええ、本人からご了承頂きましたので。」

爽やかにサラッと、とんでもない事言ってるけど…隣で聞いてる私はハラハラして気が気じゃない。

『本気ですか⁉︎』

「ええ、もちろん本気です。
今後とも、どうぞよろしくお願いします。
僕としては、お兄さんのおかげで今の果穂さんが、楽しく生きていられるんだと思っておりますので、尊敬すら覚えています。
今日はご挨拶までと思いお電話代わって頂きました。
あの、くれぐれも帰ってから果穂さんを責める様な事だけはしないで下さいね。」

『果穂の…人生ですから好きに生きてくれればいいと思ってますけど、貴方についてはどうも信用出来ない。』

「これから、信用を得られるように頑張りたいと思います。」
あーあもう、お兄ちゃん信じられない。と、思ってスマホを返してもらおうと立ち上がる。
すると、翔さんが待ってと言うジェスチャーをして手の平を私に向ける。
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