罪人とお嬢様の甘くて危険な恋を




そこから、蛍の人生は荒れたものになった。
元は金持ちの家にいたのだ。貧乏生活はすぐには慣れなかった。どうしようかと困惑している時に声をかけて来たのが、麻薬組織だった。蛍のパソコンの知識の高さとハッカーとしての才能を見出されたのだ。
初めはどんな会社知らずにいたが、自分の才能を欲してくれている人がいるのが嬉しかった。だが、直ぐに闇の世界の会社だとわかった。悪い事をしている自覚はあった。だが、裏サイトを作ったり、ハッキングをしたりすると、周りの大人達は大いに喜んでくれて、蛍のを必要としてくれた。「おまえが居てくれてよかった」と、認めてくれるのが、蛍にとって何よりも居心地がいい場所であった。仕事が認められれば、給料もあがり、組織の事務所から自分のマンションを持ち、好き勝手な暮らしが出来た。仕事をすればするほど収入は上がる。普通の会社で働くのがばかに思えた。

それがもう悪夢の始まりだと知らなかった昔の自分。
思い出すだけど、吐き気がした。


だが、そんな事が長く続ことはない。
蛍は警察に捕まるのだ。たくさんの人に迷惑をかけ、そして犠牲を出して。


もちろん刑務所にも入った。それで罪を償えるはずもないとわかっていたが、それでも生きている限りは何かしなければいけないのだ。もう、犯罪組織に入る事のないようにっと、蛍は警察の世界に入った。それが出来たのも恩人のお陰なのだが。
自分のディスクに置いてある一輪の花を見つめながら、蛍は一人昔のことを思い出していた。
すると、「何、ボーッとしてるんだよ。話し聞いてんのか?」と、海老名は今度は手で蛍の頭を強く撫でて来た。

「で、そのデッカイ宝石のピアスは何だよ。本当なら、ピアスなんてして出勤はダメだぞ」
「昨日、貰ったんですよ。ほたるの餌だそうです」
「……餌って。ほたる、おまえ、貢物でそんなん貰うなよ。後が怖いぞ」
「違います。捨てたのを貰ったんです」
「………もう捕まるような事はするなよ」
「しないですよ。次捕まったら、この仕事につけなくなるんで」




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