結婚相手は義兄でした~追想のハルジオン
その後も業績は延び続けており、誰も彼には逆らえないのだ。


「この資料、できてますか?」
「あぁ、はい。できてますよ」
「ありがとう。助かります」

にっこり笑って去っていく北大路社長。
それをチラ見していた女子達は頬を紅く染めていた。

そりゃ微笑む姿は、何処の王子様だと思うことはある。
サラサラの黒髪に、整った顔立ち。特に涼し気な切れ長二重をすぼめて微笑む姿は、本当に完璧なのだ。背景に薔薇が見えてもおかしくはないと思う。


そして社長が行ったところで、時刻をもう一度確認。
時刻は午後六時五分で、定時は過ぎている。私は「ではお疲れ様ですー」と席を立って、颯爽と退勤する。

今日は久しぶりに、残業がない日だった。
だからすごく久しぶりに、友達と会う約束をしていたのだった。
私はウキウキと心を弾ませながら、友達との待ち合わせの場所へと向かっていった。



(やばい、遅くなった……!)

腕時計を見ると時刻は八時五十八分。
私は家に向かって、全力で走っていた。

(だって仕方ないじゃん!久しぶりだったんだし!)

だから友達との積もる話が止まらなかった。これは仕方ないと思う。
だから門限が迫っていることに気付くのが遅れてしまった。私の門限は、午後九時。本当に今、ギリギリの時間だ。

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