別れる理由はATM・占いおばちゃん鑑定シリーズ1
「彼女がインスタに上げたいって言うので、雑誌に出ているお店の予約を取ってくれるのですが・・・・・」

彼の歯切れが悪くなった。
私は、彼の不安を言葉にした。

「毎週だと、相当にお金がかかるよね」

28才の青年実業家または投資家ならわかるが、サラリーマンの彼の給料では、厳しいだろう。

「そうなんです・・カードで支払っているのだけれど・・」

彼は一瞬、うつむいたが、すぐに笑顔になった。

「でも彼女、すごく喜んでくれて、ラインでもメチャクチャ楽しかったって、すぐに返してくれて」

「なるほど・・」
彼の眼(まなこ)は彼女へのラブラブで、ほぼ曇りガラス状態だ。

付き合って3か月、男がええカッコしたがるのも、そろそろ限界だ。
通帳残高も限界。
昼食は、カップラーメンをすすって、しのいでいるのだろうし。

デートの時、
すべての支払いを彼がクレジットカードでした後に、
「ごちそうさまでした」
と、はずんだ声で、かわいらしく頭を下げる彼女の姿が目に浮かぶ。
< 11 / 16 >

この作品をシェア

pagetop