探偵少女

「お前は、堂々とガセネタを世の中に広めたんだ。その責任をどう取るのかって話なんだよ」
「あれは俺の記事です。会社には迷惑かけてませんから」


　話にならないと電話を切ろうとするが、松島が続けたため、切るに切れなかった。


「御社の記事、拝読させていただきました。しかし、あれは偽情報。それに踊らされた鷹宮肇様には、しっかり取材をしなければどうなるのかを、思い知っていただきます」


　明らかに、松島の言葉ではない。


「三崎知由」


　鷹宮が言葉を理解する間を作ったのち、そう告げる。


「三崎って……まさか」
「お前が話題にした三崎知由だ。お前は敵に回してはならない人物を敵に回したんだ」


　鷹宮は理解が追いついていなかった。


　内容もしかり、なぜそれが自分ではなく会社に届いているのか、わからなかった。


「敵って、相手は女子高生ですよ？　さすがにビビりすぎでしょう。もしかして、朝原晴真に突撃しなかったのも、彼女が理由ってことですか？」


　だが、混乱していることを隠すように強がり、その口元は歪んでいる。


　松島は答えない。


　鷹宮はそれを、無言の肯定だと受け取った。


「松島先輩、俺、会社辞めます。周りに合わせて思う通りに動けない、息苦しいところなんて、いたくありませんから」