恋の♡魔法のチョコレート
「ゆいぴーはさぁ、いっつも1人なんだよね」

「あぁ…、そうだろうね」

あんな感じの小鳩だ、そりゃそうだよね。

やっぱりいないんだ、友達。

なんてたってチョコレートしか興味ない男、人間なんて以ての外って感じがするもん。

「ゆいぴーはマドレーヌは好きかな?」

「え?」

何の脈絡もなく切り出したそらぴょんの問いかけに箸で掴んでた卵焼き落としちゃった。

ここぞという時に食べるために置いておいたのに!

「わかんないけど…、チョコレートのが好きなんじゃない?」

「俺マドレーヌめっちゃ好きなんだ~」

「そーなんだ」

そう言いながらチョコデニッシュを頬張るそらぴょん、その顔もるんるんしてる。マドレーヌのこと考えながらチョコデニッシュ食べてるのかな。

「知ってる?マドレーヌとフィナンシェの違い!」

「違い?」

落とした卵焼きを拾いながら軽く考えてみた。パッと思い付くのは一つくらいしかないけど、それで合ってるとも思わないし、でもそれしか浮かばなくて…

「…形?」

「正解!」

「そーなの!?」

とりあえず言ってみたのがまさか正解だった。そんなシンプルな差別化でお菓子って作られてるんだ。

「あとは原料も違うんだけどね」

「あ、やっぱりそうなの?形だけってことはないんだね」

「でも貝殻型はマドレーヌだからね!」

「へぇー、貝殻にしたらみんなマドレーヌなんだ~」

「まぁざっくりとだけど」

お決まりのようにあの形を見たらマドレーヌだって思うように物心ついた頃から沁みついてる気はするけど、フィナンシェとの違いは?って聞かれて形とは思わなかったなぁ。
お菓子好きのそらぴょんはそんなことも考えてるのか…私なんて基本食べる専門で原料とか材料とか気にしたことないかも。

「ねぇねぇ!今日暇!?」

この話の展開の脈絡のなさにはまだ対応できないのがちょっとあれだけど。

「え…、暇だけど」

「お菓子見に行かない?」

前のめりにそらぴょんが目を輝かせる。
きっとマドレーヌの話をしたから食べたくなっちゃったのかな。

「偵察しようよ!」

「偵察!?何の!?」

でもやっぱり脈絡はなかった。

それと同時そらぴょんが最後の一口のチョコデニッシュを口の中に放り込んだ。

「ごちそーさまでした!じゃあまた帰りね!」

「えっ、ちょっと!」

脈絡もなければ説明もなく、嵐のように去って行く…

あんな陽気な頭してるのに!

てゆーか私行くって言ってないのに!

こっちのことなんてお構いなしすぎるでしょ!!
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