恋の♡魔法のチョコレート
「メリーーーーーー!一緒に帰ろーーーーーー!!」

今日初めてそらぴょんの雄叫びを聞いた。

いや、もう部活終わったけど。

みんなでチョコレート食べてる時ひっとことも喋ってなかったじゃん。

どの瞬間スイッチが入ったの???

「…そらぴょん、めっちゃ元気じゃん」

「え?元気だよ?俺元気ないって言ったっけ??」

「それは…言ってないけど」

1人になった帰り道、そらぴょんが追いかけて来た。

軽い足取りで、それはいつもと変わらないそらぴょんだった。

やっぱり何かあったんじゃないのかな…。

「柳澤ちゃん!笹原くん!」

森中部長の声に振り返ると、自転車に乗って手を振りながら私たちの方へやって来た。森中部長は自転車通学なんだ。

「ごめん、呼び止めちゃって!2人に連絡先聞いておこうと思って、教えてくれる?」

「はい、大丈夫ですよ」

スカートのポケットからスマホを取り出した。
そらぴょんも同じようにスマホを出していた、けど。

「お願いします」

って、小さく一言発しただけだった。

何そのらしくないテンション…
さっきまでのそらぴょんどこ行ったの?

「ありがとうね、じゃあ文化祭がんばろうね!」

森中部長が自転車で颯爽と走って行く。
ばいばいと手を振って後ろ姿を見送った。

「そらぴょん…」

「ん?」

「何!?何なの!?」

ギンッと強めに視線を向けた。

明らかに大人しくなった姿は違和感だし、何もないじゃ納得できない。

「そらぴょ…っ」

真っ赤にした顔を両手で隠しながら俯いてる、耳まで赤くなって…


え、何それ?


「緊張してうまく話せないんだよ…っ」

緊張してうまく話せない…?


誰と?


なんて聞くのは野暮だ。

え、それって…

だって、その…

「そらぴょん、森中部長のことが好きなの!?」


えぇーーーーーー!!!


好きな人がいるのかなぐらいには思ってたけど、それが森中部長だとは思わなかった!

好きな人の部活に入部するとかめっちゃ行動力あるのに、本人目の前にしたら話せないって何それ何それ!!!

「そらぴょん可愛いーーーーー!!!」

「メリー、うるさいよっ」

ドキドキな展開に私のテンションが上がっちゃった。

元気が取り柄のそらぴょんがこんなに喋れなくなっちゃうなんて…、可愛い過ぎる!
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