尖っているラテン男、エクソシストになる〜combattere〜
孤独ーーーそれは寂しいものかもしれない。だが、一人で生きていくということは、他人の顔色を窺わずに自由に生きていける。大きな秘密を抱えた人間にとっては一番楽な生き方である。

「おはようございます、ヴァルガスさん」

ガブリエル・ヴァルガスがゴミを捨てるためを外へと出ると、同じタイミングで家から部屋から出てきた隣人の女性が挨拶をする。

「おはようございます、ベルッチさん」

作り笑いを浮かべ、ガブリエルは挨拶をする。彼のオリーブ色の瞳には、セミロングの艶やかな金髪を揺らし、微笑む美しい女性が映される。

雲一つない青い空、小鳥の鳴き声、綺麗な隣人ーーー。いつも通りの穏やかな朝のワンシーンに多くの人には見えるだろう。だが、ガブリエルには違って見えるのだ。

その女性の背後に黒い煙のようなものが現れた。それはどんどん大きくなり、数十秒後には牙の生えた真っ黒な怪物の姿になる。

「月曜日ですね〜……。仕事、頑張らなきゃ!」
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