野良狼と野良少女

野良少女と父

【羅奈side】


「――で、付き合うことになりました…」


「うへへへへへへへ、青春だなぁ。アオハルだなぁ。」

「一葉キモイ」




何をどうしたら本人の前で馴れ初め話なんかさせられなきゃいけないんだ。


ここは地獄か?はたまた虚無?




テーブルを挟んで向かいに座るのは一葉ちゃん。


そう、日本語で表すなら “ 取り調べスタイル ” と言ったところだろうか。




「昼飯牛丼なのがやたらと取り調べっぽいな」


「ばかだな太一、取り調べといえばカツ丼でしょうよ」




一葉ちゃんはお弁当箱を指さしてヤノくんを叱る。




いやまてまて、そもそも女子高生のお弁当が牛丼ってどうなの。


ダメとはいわないけど、理想というものが完全に崩れさっていく。




綾野家のお弁当は当番制っていってたけど、牛丼をセレクトしたのは一体どっちなの…?




「牛丼作ったの一葉だろ!つか弁当に牛丼って普通じゃありえないからな!?」


「牛丼の気分だったんだもーん」





一葉ちゃんでした。

何となくそんな気はしてたけど。




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