風船より遠く

終章 月明かり、陽が沈む

「お母さんだ……。私のこと本当に捨てたのかな……?」

「どうだろう、ね。あたしは間違ってたのかもしれへんな……。ふーかちゃんのお母さんは確かに少しの間ふーかちゃんを手放したけど、あの行動からしてみれば、今では必死でふーかちゃんを探してるようにも見えるわ」

「風香ちゃんの風船には、人を引き寄せる力があるのかもね。すずも、なんか、なんか……そういうのを感じたのーっ」

「俺も、なんか突然行きたくなったんだよな……」

「お母さんっ」

「風香!」

「私のこと捨てたの?」

「ごめんね、ごめんね……」

「突然話進みすぎだろ」

「でも、再会っていう大事なところなんだから」

「夕方も終わりかけてるわ……。そろそろ月が出はるや」

「明日が……始まる」

「よかった……」

「そう、やね」
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