あの頃からあなただけが好きでした

『アイツの手を離して、後悔しない?』
『彼は君の運命の相手じゃないかな』


 俺の悪魔の囁きは、あの男の胸に飛び込む勇気をマリオンに与えた。
 彼女が欲していたセリフを、言ってやっただけだ。

 誰かがそう言って後押ししてやらないと、動けないヒロインぶった女。



 邪魔な女だ、といつも思っていた。
 大学でスコットが親しくなって、どうやったのか俺達の秘密まで打ち明けさせて、こっちの懐に
入ってきた女。


 俺達の間に割り込んでは来ないが、スコットの
隣にいつも居る女だった。
 お互いの誕生日やクリスマスや、そんな俺達の
記念日にいつも居て、家族みたいな顔をしていた。


 俺は本当に、マリオン・オーブリーが邪魔だったんだ。
 俺が夜勤の日は、5回に1回スコットとマリオンは夕食を共にしていた。

 ふたりの間に今まで何もないとは信じてるが、
やはり気分のいいものじゃない。


< 157 / 171 >

この作品をシェア

pagetop