あの頃からあなただけが好きでした

『急に言われても予定があるから』と断られるのが3回続いて。

 それならば、と週末に翌週定休日に誘うことに
した。
『今月の休みの予定はもう決まっている』と言われて……

 惨めな気分になったが、来月なら?と食い下がった。
 ここまで来たら意地もあった。



 私が自分を追いかけて、ガーランドまで来たのはわかっているくせに。
 1度くらいデートしてくれてもいいじゃないか。

『あんたに会う為に何回この店に来たと思ってるんだ』


 今回も、空振りだったら。
 ……後3回、いや後10回誘っても断られたら。

 もうあきらめて、仕事も辞めて王都に帰ろう。
 こんな血も涙もない冷血な男はこちらから……




「いいよ、来月は第2週目なら空いてる」



 港町のシーフードレストランは、ディナーの時間でも賑やかだ。
 色んな人が行き交い、色んな地方の言葉を投げ掛けあう喧騒の中で。


 カーティスのその言葉だけは、クリアに聞こえた。
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