孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
無派閥の彼女
.

.



「いた! さぼりの加藤杏実〜〜」


始業式が終わるタイミングを見計らって、さも「みんなと一緒に体育館から出てきましたよ」感を出しながらコッソリ列に混ざっていたら

後方からまりやちゃんの声がした。



「もう〜さっそく噂になってるよ! ゆきあみが空き教室に入ったきり出てこないーって」

「っえ、あ。そっか雪くん……」


皆は最初から最後まで、わたしは雪くんと一緒にいたと思ってるんだ。

雪くんと別れて教室に戻ったとき、人が疎らだったのは、皆もう既に体育館に移動してたからで。


教室を出たのは、たしか本領くんとわたしが最後だったんだよね……。

つまり……本領くんとわたしが一緒にいたのは誰も知らないってことか。

よかった……。



「朝から空き教室とか、ゆきあみアツアツだな〜ってみーんな思ってるよ」

「あはは……。ていうかその、“ゆきあみ”ってなに?」

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