孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている

相変わらず逆光で表情がよく見えない。

かろうじてわかるのは、口元が楽しげに笑っていることくらい。


近づきたいけど、これ以上近くに行ったら心臓が暴れ狂っちゃいそう。


ここは、テキストを取ってサッと帰るべし……。

体ごと背けて自分の席に向かう。



だけど焦ってたせいか、テキストを引き抜いた勢いで、机の中で雪崩が起きて。

「っあ、」

プリント類を大量に挟んだクリアファイルまで飛び出してきてしまった。



あっと思ったときにはすでに遅くて、ファイルから飛び出てバラバラ散乱していくプリントたちを呆然と眺める始末。


や、やっちゃった……。
本領くんの目の前で……。

恥ずかしい。
ずぼらって思われたかも。

本領くん、さぞ呆れて……。

そんなとき、固まっているわたしの眼下に、すっと影が映り込んだ。


かがみ込んで、わたしがぶちまけたプリントたちを手際よく拾っていく本領くん。
< 90 / 313 >

この作品をシェア

pagetop