甘く、溶ける、君に。


隣の席から伝わる一直線な想いを、はやくはやく受け止めて、自分の気持ちを伝えなきゃいけないのに。



私はきっと千輝くんのことしか好きになれないって。

気持ち、受け止めるけど、受け入れて、応えることはできないって。



言わなきゃいけないのに、今日は言えなかった。



まだ勇気がなかったから。



田邊のこと傷つけたくないって、それもそうだけど、結局身勝手な私は自分が傷つきたくなくて勇気が出ないだけ。



自己嫌悪。本当に嫌。こんな自分が。

言わなきゃ何も変わらないこと、わかってるのに。



明日こそ言おうと。歩きながら決意するのは簡単だけど、実行できるのかはわからない。


先輩に言われた通り、本当に最低だ。



……一番、最低。



< 256 / 349 >

この作品をシェア

pagetop