実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
「――――まぁ、本当にこんな所にいらっしゃったのですね!」


 鈴を転がすような声音が聞こえ、わたしはアダルフォと一緒に振り返る。


「あっ……! シルビア! エリーも!」


 柔らかな笑みを浮かべ、聖女シルビアがこちらに向かって手を振っている。侍女のエリーも一緒だ。


「ご無沙汰しております、姫様」

「久しぶりねぇ……って、一週間前にも会ったじゃない」


 言えば、シルビアは朗らかに微笑みつつ、わたしの隣へと腰掛ける。

 シルビアは週に一回、こうしてわたしに会いに来る。元々定期的に街を回り、祈りを捧げているからっていう理由で、他の人よりもフットワークが軽いんだそうだ。
 彼女はここに来るたび、城や陛下の様子を教えてくれる。曰く、わたしが退屈しないようにってことらしい。


(ランハートもシルビアも、わたしが『退屈する』ってことが前提なんだもんなぁ……)


 定期訪問があるのはシルビアだけじゃない。
 エリーはわたしが家に帰ってすぐに、休みを取って会いに来てくれた。涙ながらに手紙の件を謝られて、なんだか申し訳ない気持ちだった。


(陛下のせいで手紙が届かなかったのも、ゼルリダ様に手紙を奪われ、そのことを報告できなかったのも、全部エリーのせいじゃないもの)


 おかげで真相が分かったんだし、寧ろ感謝してるって伝えたら、エリーはこっちが心配になるぐらい泣いていた。


 バルデマーもランハートも、花やら宝石やら、お土産を持ってしょっちゅう家に来ている。最近では、講師陣や侍女頭、宰相やら騎士団長まで訪れるようになった。

 そして、それら殆どの人間が『城に戻って来い』ってそう言うのだ。


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