実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
 ランハートがわたしの婚約者候補になった時、シルビアはどう思っただろう? 何だか申し訳なくなってくる。

 だけど、同時に気づいてしまった。
 多分わたしは――――わたしも、ランハートのことが好きなんだと思う。何でかはよく分からないけど、多分恋って理屈じゃない。

 だからこそ、わたしは今日、シルビアの元に来たんだろうなぁって。


「ねえ、シルビア。もしもわたしがランハートを選んだら、シルビアは友達を止めてしまう? 今みたいに仲良くできなくなる?」


 確認しないっていう選択肢もあったかもしれない。だけど、何も言わずにランハートを選ぶのは、シルビアに対して失礼だと思う。緊張で身体が小さく震えた。


「姫様……」


 シルビアは小さく目を見開くと、首を大きく横に振る。それから、わたしの手を取り穏やかに微笑んだ。


「いいえ、姫様。いいえ。
姫様がお相手ならば、私も納得が出来ます。自分勝手だということは百も承知ですが、他の誰かと結婚するより、正直そちらの方が嬉しい。ありがたいのです。
それに、あの人を想う気持ちと同じかそれ以上に、私は姫様が好きなのですわ。ですから、これから先に何があっても、私は姫様の友達で居たい。仲良くしていただきたいと願っております」


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