実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
「というかライラ、こんな所で油を売ってる暇あるのか? 王太女即位まで、もう一週間も無いんだろう? 先輩たちがピリピリしてるよ。儀式が何事もなく執り行われるまで、全く気が抜けないって」

「失礼な。これでも緊張しているし、昼夜準備に勤しんでいるのに!
だけど、わたしにだって息抜きは必要だもの。シルビアとエメットに会ったら少しは気が紛れるかなぁと思って」


 実際問題、わたしの周囲は今、かなりピリピリしている。多分、儀式の主役であるわたしと同じかそれ以上。準備する側の方が神経を使うし、色々大変なんだと思う。

 それに、侍女達も文官達も、ずっとわたしが側に居ちゃ気が抜けないし、ちょっとした愚痴すら零せない。だから、意図的に離れる時間だって、時には必要かなぁって思ったのだ。


「姫様、実は私も緊張していたのです。ですから、こうして姫様とお会い出来てホッとしました。足を運んでいただき、ありがとうございます」

「そんな。お礼を言われる筋合いはないんだけど……シルビアでも緊張するの?」


 即位の儀において、シルビアは聖女の祝福を授けてくれることになっている。
 聖女の祝福っていうのは、『わたしが治める御代が神に愛され、守護されますように』っていうお呪いだ。
 神聖な行為だから練習が効かないらしく、一発本番。彼女にしかできないこと、役割だけど、いつも冷静沈着なシルビアだもの。緊張するところとか、失敗するところとかあんまり想像できないんだけど。


「もちろんですわ。姫様の晴れ舞台で醜態を晒すわけには参りません。私に出来る、全身全霊、全力の祝福をさせていただかねばと、今から意気込んでおりますの」

「そこまでプレッシャーを感じなくても」

「いいえ! 私がしくじれば、国の未来が変わってしまいますもの。責任重大ですわ」


 シルビアはそう言って、ギュッと拳を握りしめる。


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