実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
「まぁまぁ、そう言わず。姫様だって貴族のパーティーに興味がおありでしょう?」

「そりゃ……無いって言ったら嘘になるけど」


 だって、わたしの中の貴族のイメージって、豪華なドレスや宝石を身に着けて社交に勤しんでる、みたいな華やかな感じだったもの。実際どういうものなのか、この目で確かめたいって思うのは普通の感覚だと思う。

 それに、今受けている講義だって、半分ぐらいは社交に関するものだ。そのくせ、礼儀作法やダンスを実践する場は公務を担っていない以上、極端に少なく、かといっていきなり公務で実践するのもかなり怖い。
 相手が国内の貴族ならまだ良いけど、他国の貴族や王族を相手にしなきゃいけないことも多々あるっていうんだもの。非公式に場数を踏めるのは、正直言って有難い。


(それに……)

「ねえ、ランハート。もしかして……わたし、夜会の間は外に出ても良いの?」

「もちろん、その点も当然、陛下に許可を戴いています。まぁ、終わったら速やかに城にお帰り頂く必要がありますけどね」


 その瞬間、わたしの瞳にランハートから後光が射しているように映る。トクトクと心臓を高鳴らせつつ、わたしは小さくため息を吐いた。


「ランハートってホント、ピンポイントで人の弱点を攻めてくるわよね」

「それはそれは……お褒めに預かり光栄です」


 そう言ってランハートは楽し気に瞳を細める。

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