実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
 当然、一人での外出が許されるわけもなく、わたしの背後には夜会用に着飾ったアダルフォが続いていた。あんまり気乗りしない様子だったけど、下手をすればわたしが逃げ出すと思ったらしい。最終的にはこれも仕事だと割り切ってくれた。


(どうせなら、シルビアも一緒に来たら良かったのに)


 夜会用のドレスに身を包んだシルビアは、とんでもない美しさに違いない。それに、一緒に居てくれたらとても心強いなぁと思って誘ってみたんだけど、『ランハートに関わりたくないから』って理由で、丁重に断られてしまった。


(それにしても、凄いなぁ……)


 王都の郊外に位置したお屋敷は、大きくてとても煌びやかだった。
 色とりどりの季節の花が咲き誇る庭に、ライトアップされた噴水。屋敷の中も花瓶とか彫刻とか絵画とかシャンデリアとか、高価で美術的な価値が高いもので彩られていて、派手好きで華やかなランハートの実家って感じがする。


「如何です? お城とはまた違った雰囲気で悪くないでしょう?」


 わたしの視線に気づいたのだろう。ランハートがそう言って首を傾げる。


「そうね。見ていて楽しい、かな」


 これが統一感なく、高いものを無秩序に揃えただけとかだったら落ち着かなかっただろうけど、ランハートのお屋敷からは『こうありたい』っていう主人の意図を強く感じるし、単純に見ていて飽きない。夜会なんて無くても、小一時間鑑賞して回れそうな気がする。


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