高嶺の花と呼ばれた君を僕の腕の中で包みたい

女の宣戦布告



 推定年齢五十歳の小柄な外科部長の隣に身長は百八十を超えているであろう長身の尊臣が立っている。先ほど見せた優しい笑顔とはまた違う、凛々しい顔つきだ。キリッとした二重の瞳に、すらっと高い鼻。そして引結ばれた口元。けれど笑うと途端に緩んで優しくなる。


「今日からうちの外科に赴任になった高地尊臣先生です。アメリカからの帰国子女で向こうでは天才外科医として有名だった高地先生が本人自らの希望でうちの病院にきてくれました」


 尊臣は「やめてくださいよ」と苦笑いをする。外科部長の紹介のもと、尊臣もペコリとお辞儀をして話し出した。


「高地尊臣です。小学六年のときにアメリカに行ったきりだったので日本は十八年? ぶりです。向こうでは外科医をしてました。本当は四月からこちらに来る予定だったのですがまぁ色々あって五月からになってしまいました。至らないところばかりだとは思いますが患者さんの力になれるよう精一杯勤めたいと思いますのでどうそよろしくお願い致します」


 堂々と挨拶をする尊臣を見て華は幼馴染の尊臣なんだと再確認した。まさか会いたいなと思った途端に現れるなんて思いもしなかった。尊臣の人を惹きつける魅力は昔と全く変わっていないらしい。小学生の時も女子に人気があったが、大人になった尊臣もイケメンの部類らしく、女性看護師の黄色い声が際立っている。

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