溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


 それから数十分後。

 再び開いた寝室のドアから、すでにスーツに着替えた晃汰さんが入ってきた。

 シャツにネクタイはまだ締めておらず、腕まくりをしている。その手にはトレーに載せたひとり用の土鍋が。思わずベッドから上体を起こす。


「昨日もあまり食べてなかったが、少しでも食べられそうなら食べた方がいい」

「え……わざわざ作ってくれたんですか?」


 まさか朝の忙しい時に、私のために時間を割いて作ってくれたなんて嬉しすぎる。


「わざわざって当たり前だろう」


 夫婦だからどちらかが困った時は協力するのは普通のこと。だけど、こうして気遣ってもらえたことが嬉しい。


「ありがとうございます。嬉しい」


 ベッドまでトレーを運んできてくれた晃汰さんは「自分で食べられる?」と甘やかすようなことを訊く。


「大丈夫です! ここまでしてもらって、すみません」


 トレーを預かり、膝の上に載せる。

 土鍋の蓋を開けると、真ん中に梅干しが載った白がゆが湯気を上げた。

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