花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない

クルーズナイト

ドレスが届いてから数日後、学校の授業で社交ダンスの特別カリキュラムが組まれた。
私以外は去年の経験があるので割とスムーズに踊れいていた。

 何が憂鬱って…。
 なんでダンスのペアが教室の座席の列で決まるのよー!
 どうせ隣なら柳くんが良かったー!!

そう、私のダンスのパートナーはあの口の悪い真宮くん。
 
 きっと、間違えるたびに文句言われるんだ。
 真宮くんだって私がパートナーじゃ嫌だろうに…。

考えるだけで練習する前からげっそり痩せてしまいそうだった。
始めの数時は個人でステップの練習だったが、ついにペアで練習する時が来てしまった。

「はい、では男子はペアの女性を迎えに行くところからやりまーす。」

先生の一声でクラスの男子たちがそれぞれのパートナーのところへと向かう。
そして、ぶすっとした表情で真宮くんが私のところへやったきた。

「…よ、よろしくお願いします。」

真宮くんが目の前に来たので恐る恐る言うと、

「あ”っ?男がダンスを申し込む立場なんだ。こっちが声をかけるまで黙ってろ。」

と不機嫌に言った。

「…ごめんなさい。」

心の中では何でそんなことで不機嫌になるのよっ!って怒りが沸いたが、また何か言われるのが嫌で、まずは謝る。

「お前、俺の足踏むなよ。」

「分かってるわよ、踏んだとしてもワザとじゃないんだから。」

あぁ、本当にこの人は苦手だ…。

「晴翔、そんなんじゃ琴乃ちゃんが委縮してガチガチになっちゃうよ~。」

「そうですわ!真宮くんが琴乃さんをリラックスさせないと本番は失敗しますわよ!」

「真宮さんでもできないことがあるんですね~。」

と3人から言われ余計に真宮くんが不機嫌になる。
真宮くんの不機嫌がMAXになったところで、ダンスの音楽が流れ始め踊りが開始した。
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