【続】酔いしれる情緒
番外編 由紀子さんと橋本のお話です。




私が橋本さんの会社に入社したのは25歳の時でした。



夢だったテレビ関係のお仕事。その夢を叶えて新卒で入った会社はブラック企業そのもので、寝る時間もなければ上司に罵倒される日々。

毎日毎日怒られる日々に色々と参ってしまって、入社して2年、私は仕事を辞めた。


その時の私はテレビ関係のお仕事はどこもこんな感じでブラックなんだと思っていたから、次の仕事は全く関係の無い仕事に就こうと思ってました。



………橋本さんから連絡が来るまでは。



それはあまりにも突然で、違う企業の面接に行こうと思っていた時、

携帯に登録していない番号からかかってきたかと思えば、その番号はあの大手芸能事務所の社長である橋本さんで。



『単刀直入に言わせてもらうと、キミを私の会社にスカウトしたい。』

「………え?」



一体何が起こったのか分からなかった。

社長直々に声をかけられるなんて、そんなこと有り得る?と。


しかも経験の浅い私に。



『とりあえず話だけでも聞きにきてほしい』

「え。ちょ、待ってくださ…!」



そう言って半ば強引に切られた電話。

後から送られてきたメールには場所の指定が。


なんで電話番号を知っているのか不思議なところだけど……ここで行かなかったら、私の人生の何かが終わる気がして────

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