僕たちは嘘が吐けない

プロローグ



毎週の如く何かを仕出かす彼等に、事務所側が用意したのは、矯正専門の敏腕マネージャーだった。


極端に凛とした風貌に、初めこそは彼等も歓喜湧くのだったが…。


表情が一糸乱れぬその女。初めこそは真面目なマネージャーが就いたのだと油断していたが、何かが可笑しい。




「…臭いますね。微かに漂うこの異臭は、つい小一時間前まで女性を抱いていた?からでしょうか。」



業界人やファン等を食い散らかすどうしようもない問題児たち。

穴があったら入りたい。そんな脳みそチンパンジーの彼等。


遅刻の言い訳でも並べようものならば、彼女によって直ぐに暴かれてしまう。


「女性を弄ぶのも大概にしとかないと、直ぐに刺される時代ですからね…。躾が上手く行き届かないと、この世では生きていけなくなりますよ。」


仕事振りは、そんじょそこらの敏腕マネージャーよりも優秀で、どういった経路を辿れば貰えるのかも不明な大仕事を取ってくる。


年齢不詳、指輪をしている形跡は無いので、彼女は恐らくは独身に違いない。


新しいマネージャーの正体を上層部に訊ねてみれば、某二枚目俳優を育て上げた実力者とのこと…。


その他にも売れない地下アイドルをメジャーデビューさせただとかで、業界内ではかなりのしごでき人間として有名らしい。


そんな彼女を欲する事務所は多々有り、その競争率は計り知れない。


何故、此処に辿り着いたのか…少し考えてみたところで、事務所の思惑に決まってる。








そして俺たちは、このサイボーグ女によって運命を変えられてしまう…。




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