結ばれない二人
「修平」
「ん?」
不意に朱莉に呼ばれて振り向く。
「どうした?」
俺が朱莉の方を見ても朱莉はうつむいたまま今にも泣きそうな顔をしたまま何も言わない。

「どっか痛い?」
もしかして泣いているんじゃないかと思いながら朱莉を見る。
「何でもない」
そう言いながらかすかに朱莉が俺の手から離れようとしたのが分かって俺は強い力で握り返す。

朱莉に拒絶されるのが俺には一番つらい。
苦しい。

だから朱莉の口から拒絶するような、俺を引き離すような言葉がでるんじゃないかといつだって怖くて、何かを言いかける朱莉ノ言葉を遮ってしまう。
< 48 / 128 >

この作品をシェア

pagetop