一条さん結婚したんですか⁉︎

一条さん、結婚しちゃいました。





「花ちゃん、行ってきます。」


 ....“いってらっしゃい”のチューが欲しい。

 けれど目の前には、昨晩からご機嫌斜めの花ちゃんの姿。

 当然ながら夜の営みは拒否。ベッドは一つしか無いので、一緒には寝ますが、ちょっとでも花に触れようものならば、腕でも脚でも抓られてしまい、嫌がられてしまいました。

 

 まるで結婚する前....お付き合いを始める前に戻った感じ。

 みー君は、過去を振り返る。



(....昔は、普通にビンタされてたよな〜。)


 中学時代、まんまと花ちゃんに進路を騙された俺は、別の学校に進学してしまった。

 だけど俺はめげずに、花ちゃんに変な虫が付かない様、放課後になると、急いで花ちゃんが通う高校まで向かった。

 校門の前でソワソワ・ルンルンしながら花ちゃんが出てくるのを待つ。

 そして出てきたところで、花ちゃんに「迎えに来ちゃった。一緒に帰ろう?」と訊ねると、あからさまに嫌そうな顔をしたから、それを無視して肩を抱き寄せて歩き出せば、花ちゃんは、それが嫌だったのか、照れ隠しなのか....。

 俺が馴れ慣れしかったのか、まあこれは今更だな。

 花ちゃんは俺の手を払い除けると、そのまま小走りで去っていく。

 風に靡く、綺麗な黒髪。そして揺れるスカート。

 普段は隠された花ちゃんの綺麗な脚の曲線美が姿を現す。

 ついでに下着も見れたらラッキーだな。あ、これは男の浪漫だ!!

 
 隠された秘宝を目の前に、興奮して鼻血が出そうだが....まあここで逃がすわけがないよね....。


(待て~アハハ~....)

 不審者(・・・)と二条 花。


 逃げる君を追いかけてれば、急に立ち止まった花ちゃん。

 観念したのかと思えば、振り返り様に俺の頬を思いっきり叩いてきた。

 痛い?....いんや、「愛の鞭!?」それは、俺の“花ラブバロメーター”が振り切れる程の喜ばしい反抗。


(....え、なんでこいつ叩かれて、にやけてるの!?)
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