星と月と恋の話
「…今日はありがとうね、色々と」

その日、結月君の家から帰ろうとしたら。

結月君のお母さんが、結月君に「送ってあげなさい」と言ったので。

結月君は、私の家の近くまで送ってくれることになった。

別れ際、私は結月君にお礼を言った。

お礼を言うだけじゃ、全然割に合わないよね。

お世話になり過ぎて。

ワンピースと、お昼のロールキャベツと、あとあんみつ。

どれも最高だったわ。

特にワンピース。

あれは、後でTwittersに載せて自慢しよう。

「いえ、お気になさらず」

「何か欲しいものあったら、リクエストしてくれて良いのよ」

私だって、洋服のリクエストに応えてもらったんだから。

さすがに私には、手作りの何かは用意出来ないし。

手作りしたところで、結月君の器用さの前には、私の作ったものなんてガラクタ同然だろうけど。

でも、出来るだけリクエストには応えたい。

「いえそんな、本当…見返りが欲しい訳じゃないので、大丈夫です」

また遠慮しちゃって。

じゃ、良いや。私が何か考えて、また持ってこよう。

「それより、今日はうちに来てくれてありがとうございました。母も喜んでると思います」

それなら良かった。

「私も楽しかったよ。ありがとね、色々と」

「いいえ、どういたしまして」

「それじゃ、また学校でね」

「はい」

私は手を振って、結月君と別れた。

今朝、あんなに足取りが重かったのが嘘みたいだ。

良い一日だったなぁ。
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