星と月と恋の話
「あんた、薄情ね…。忘れてたの?」

「え?いや覚えてた。覚えてたって」

嘘おっしゃい。今忘れてたでしょ。

別に良いわよ。慣れてるのよ、誕生日忘れられること。

如何せん、こんな年度末に生まれたものだから。

皆新学期に気を取られて、私の誕生日を忘れちゃうのよ。

3月生まれの、悲しき性。

私の誕生日を忘れないで。

「星ちゃん、今年は何が欲しい?」

「そうだな〜。…二人のセンスに任せる」

「えぇ〜、難しい」

「『何でも良い』が一番困るんだよね〜」

分かる分かる。何でも良いって言われると、逆に困るよね。

でも私は敢えて、何でも良いと言う。

ふっふっふ。私の為にあれこれ考えると良い。

大丈夫だよ。友達からもらったものなら、何でも喜ぶから。

…すると、そこに。

「唯華さん、お待たせしました」

「おっ。お帰り〜」

図書室に本を返しに行っていた結月君が、教室に戻ってきた。

「じゃ、一緒に帰ろっか」

「はい」

私は机に広げていた雑誌を、学生カバンに収めた。

「じゃあね、真菜、海咲」

「バイバイ、星ちゃん」

「また明日ね〜」

二人の女友達に手を振り。

私は結月君と共に、教室を出た。

今日も一緒に帰るんだよ。良いでしょ?

ラブラブだぁ。
< 392 / 458 >

この作品をシェア

pagetop