星と月と恋の話
「期待を裏切られても知りませんからね…」

「うんうん、早く見せて」

「どうぞ…」

結月君は、小さなラッピングバッグを差し出した。

何だろう?既に可愛い。

リボンを解いて、中を開けてみると。

「えっ。これって…」

出てきたものを見て、私は驚いてしまった。

青い薔薇を模した、お洒落なブローチ…じゃなくて。

布で作ってるから、コサージュって言うんだっけ?

胸につける飾りだ。

「…やっぱり恥ずかしいから、違うものにすれば良かった…」

私がポカンとしてるのを見て、結月君はそう呟いた。

この青い薔薇のコサージュ、見覚えが…。

「…前にお友達と雑誌見てるとき、こんなブローチを見て、欲しがってたでしょう?」

「…!あれ、聞いてたの?」

「実はこっそり聞いてました…」

こっそり聞いてたんだ。

それを聞いて、何とか再現出来ないものかと手作りしてくれたんだ。

き…君って人は…。

「完全再現…とまでは行きませんけど…。それっぽくはなったんじゃないかなと…」

「…」

「…あの、要らなかったら捨てても良いです」

…馬鹿おっしゃい。

「捨てる訳ないじゃない。大事にする」

「…気に入りました?」

「世界中のどんなアクセサリーより素敵よ」

こんなにお洒落で、こんなに心がこもったプレゼントって、ある?

雑誌に載ってた、本物の青い薔薇のブローチよりずっと素敵。

「さすが手先が器用ね。凄く可愛い」

「そ、そうですか…。実は、慣れなくて何度も指に針を刺しました」

何それ。可愛い。

「まぁ…気に入ってもらえたなら、良かったです」

照れてる照れてる。

コサージュも可愛いけど、照れてる結月君も可愛い。

なんて思う私は、もしかして重症なのかしら。

まぁ良いわよね。たまにはのろけても。

誕生祝いなんだから。羽目を外してもセーフセーフ。
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