童貞を奪った責任


 今じゃ考えらんねーかも知れないが、昔のヤクザ者は、ブイブイ言わせてる様な連中ばかりである。

 一般人に容赦無く喧嘩を売ったり、詐欺紛いな行為も横行していたのだ。


 勿論、闇金の金利は爆発的に跳ね上がっており、もう返す宛は、店を畳んで土地を売る事しか方法が無くなってしまった。

 両親はそこそこの歳であったが為に、心労で倒れてしまった。

 俺は継ぐはずだった店と、実家を一気に失い途方に暮れていると、



「お前さん、あの親父の倅だろ?」


 当時、山田組の組長は五代目....即ち、詠斗さんの祖父に当たる方が勤めていた。俺から見れば、白髪混じりの仙人みたいな爺さんに呼び出されたのは、山田組の屋敷である。


「その節は、ご迷惑をお掛け致しました。」



 借金の取り立てに来ていたチンピラとは、格が違う風貌の組長さんに圧倒され、思わず目を合わせられずに頭を伏せていた。



 

 


  


 


 
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