「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました
「なにかご用でしょうか?」

 開け放たれている扉の前でそう尋ねた。

 無意識の内に、声がかたくなっていた。

 緊張と不安、からかしら?

 わたしも臆病になったわね。自分を偽り、演技を続けてきたお蔭ですっかり弱くなってしまっている。

 将軍はこちらに背を向けていたけれど、驚いたのか慌ててこちらを振り返った。

 そして、睨み合った。

 まるで(かたき)どうしであるかのように。
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