嫌われ爺さんへの怨み節
学のまさかの発言に、加奈子は、

「はぁ!?」

と目をむいた。

「な…なんで!?」

怒りのあまり、声にならない加奈子に、学は、

「俺は、あの社長がどうも好きになれん。お前があいつの息子と結婚したら、俺はあいつと親戚になるだろうが。冗談じゃない!お前は、どんな不細工でも、うんと年上でも構わないから、地方公務員と結婚してこの家で俺と同居しろ。サラリーマンはダメだからな!」

全く悪びれることなく、あまりに身勝手なことを平然と言い放つ学に、加奈子は怒りの限界を通り越して、完全に言葉を失った…。

そう、加奈子が唯一結婚したいと思った男というのは、これまで付き合ってきた中の誰でもなく、まさかの見合い(する予定だった)相手なのだ。

しかし、よりによって、学が勝手に破談にした。

それだけでも許せなかったのに、イモ臭い地方公務員と結婚して、ましてや学と同居など、死んでも真っ平だった加奈子は、新しい彼氏が出来るや否や、とりあえず半同棲し始め、殆ど家に戻らなくなった。

しかし、見合い相手への未練タラタラの加奈子は、彼氏から逃げてきたわけだが…。

(クソジジイ…絶対にゆるさない…!)
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