竜に選ばれし召喚士は口説き上手な外交官に恋の罠に落とされる

12 名前

 彼は優しく膝裏を持って、ナトラージュの両足をゆっくりと上げた。恥ずかしいところを曝け出している間抜けな格好になっているのはわかってはいたものの、彼のされるがままになっていた。

 座っていた彼は濡れている谷間を覗き込むようにして、頭を下げた。小さな花芽が良く見えるようにか、両ひだを押し開き観察しているようだった。

「……ここも、可愛い。君は……どこを取っても、可愛いんだね。本当に不思議な存在だ……」

 人の手にすることの出来る奇跡をいくつも集めて形作れられているようなヴァンキッシュに、自らがそんな風に評される事が不思議だった。だから、ナトラージュは今の状況も体勢も横に置いたまま、ぽかんとした顔になった。

「ふふっ……そういう顔も、可愛い。どういう声で啼くのか、今から楽しみで堪らない……」

 じゅるりとした音をさせて、彼はむしゃぶりつくように目の前の花芽に吸い付いた。いきなり鋭い刺激を与えられて、逃れようと足をバタつかせようにも、太ももを押し上げている彼は軽々とした動作でそれを止めている。

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