竜に選ばれし召喚士は口説き上手な外交官に恋の罠に落とされる
08 突然
ナトラージュとラスは、上司の導師アブラサスから頼まれた用事で勤務中ではあるが外出をしていた。
王都の外れにある邸に届け物をしたのだが、出発が予定より遅れてしまったせいか、帰り道の今、とっぷりと日は暮れて辺りは暗い。
(ナトラージュ、腹は減らないのか?)
ラスがそろそろ夕食時ではないかと気遣って、ナトラージュに声をかけた。
「そうね……何か、出店で買って歩きながら食べようかな」
人通りの多い王都の大通りには、出店が道沿いにずらっと並んでいる。
もちろん貴族令嬢であれば、そういった振る舞いは決して許されない。
けれど、特に令嬢らしい振る舞いを求められない、召喚士見習いの肩書きしか持たないナトラージュにとっては、食道楽で知られる王都で気ままに美味しい物を食べ歩くのは、たまの楽しみになっていた。
(俺、焼き鳥が良いな。この前、食べた香辛料が、ピリッと利いてるやつ。あれ食べたい)
「確かに、凄く美味しかったね。売っていた屋台を見付けたら、買いましょう」
王都の外れにある邸に届け物をしたのだが、出発が予定より遅れてしまったせいか、帰り道の今、とっぷりと日は暮れて辺りは暗い。
(ナトラージュ、腹は減らないのか?)
ラスがそろそろ夕食時ではないかと気遣って、ナトラージュに声をかけた。
「そうね……何か、出店で買って歩きながら食べようかな」
人通りの多い王都の大通りには、出店が道沿いにずらっと並んでいる。
もちろん貴族令嬢であれば、そういった振る舞いは決して許されない。
けれど、特に令嬢らしい振る舞いを求められない、召喚士見習いの肩書きしか持たないナトラージュにとっては、食道楽で知られる王都で気ままに美味しい物を食べ歩くのは、たまの楽しみになっていた。
(俺、焼き鳥が良いな。この前、食べた香辛料が、ピリッと利いてるやつ。あれ食べたい)
「確かに、凄く美味しかったね。売っていた屋台を見付けたら、買いましょう」