強烈な旦那様♡おバカなカメ
囚われる李範
李範が、自身の胸に夏菜の為にタトゥーを入れてしばらく経った頃。

仕事のクライアントから、花見に誘われた。


「円さん、是非!」
「じゃあ……せっかくなんで、顔を出させてもらいます」
表情は固いが、穏やかに言った。

「ほんとですか!?良かった!」


帰宅して、夏菜に話す。
「━━━━そっか。わかった」
切なく瞳を揺らす、夏菜。

「そんな顔するなよ。
顔出すだけだから。な?」
ポンポンと頭を撫でる李範に、夏菜は微笑むのだった。


そして、花見当日━━━━━━

「━━━━━円さん、どうぞ?」
「あ、いや。
そんな長居するつもりないんで…」

「一杯くらい、付き合ってくださいよ!」

ビールの入った、使い捨てタイプのクリアカップを渡される。
「あ、じゃあ…一杯だけ」
李範は、しかたなく受け取り口をつけた。

「円さんのおかげで、人気が出たので感謝してます!」
「良かったです」

「あの…聞いてもいいすか?」
「はい」
男性の一人が、少し言いにくそうに声をかける。

「その、タトゥーなんですが……」
「あ、これですか?」
首のタトゥーを指差す、李範。

「はい…
薔薇とタガー、ですよね?」
「はい」

「俺、◯◯高校(李範の母校)出身で……」
「あー、俺もですよ」

「やっぱり!じゃあ、円さんって“あの伝説の”円城寺 李範さんなんだ!」
「伝説って、初めて聞きました」

「何なの?」
「伝説って?」
他の女性達が、不思議そうに聞く。

「ある暴走族のチームがあって、その中の幹部四人が最強だったんだ。
喧嘩が強くて、頭も良くて、イケメン。
完璧な四天王みたいに言われてて。
その四天王の中でもリーダー的なのが、円城寺 李範って人だったって。
何人相手にしても、円城寺 李範には勝てないって言われてた。
みんな、薔薇とタガーのタトゥーをしてて、円城寺さんは首にしてるらしいって聞いてたから、もしかしたらって」

「「「へぇー!」」」
女性達が、李範に見惚れる。

「若気の至りですよ」
「俺、会ってみたかったから、こんな風に一緒に仕事ができて良かったっす!」

「こちらこそ、ありがとうございます。
あ!俺が、円城寺 李範ってことは、他言しないようにお願いします」

「はい、もちろんです!」

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