社長は身代わり婚約者を溺愛する

第4話 二人の間の壁

今日は久しぶりに、芹香がお茶しない?と言って来た。

「たまに家から出ないと、息つまるんだよね。」

お嬢様の身分で、25歳で仕事をしていない芹香。

どうせ嫁に行くのだから、仕事なんかしなくてもいいと親御さんに言われているらしい。

でも、実家にいると息がつまるのは、分かる気がする。


「そうだ。どうだった?お見合い。」

「えっ……ああ、お見合いね。」

「ちょっと、まだ2週間前の話だよ?忘れたの?」

芹香は、お見合いを断って欲しいと言っていた。

それは芹香にとって、大した相手じゃなかったって事?


「うん、ちゃんと断ったよ。」

お見合いの日、二人共お互いを気に入って、その一週間後に美術館デートした事は内緒だ。

「有難う。面倒な事頼んで、ごめんね。」

「ううん。こちらこそ、いつもお世話になっているから。」

そう。私達は友人だけど、持ちつ持たれつの関係。


「ところで、どんな人だった?」

「えっ?相手の人に、興味あるの?芹香。」

意外だった。信一郎さんの写真も見てないと言っていたのに。

「後から考えたら、どんな人か分からないのに断るって、後味悪いなぁって。」
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