君の甘い笑顔に落とされたい。
▲君のことを教えてほしい。




「あっ!花戸さん!野原さん!」


4階に着くと、椎名くんが音楽室の扉から顔をのぞかせて手を振っていた。
私と桃ちゃんの名前を呼んで、これまたキラキラ笑顔で。

「犬……」って呟いた桃ちゃんに苦笑しながら椎名くんのもとへ。


「柚琉ー、花戸さんたち来たよ」


椎名くんに続いて音楽室に入ると、ソファに座っていた久世くんがくるりと振り向いた。


「よ。」
「あ、お邪魔します……」


表情を変えない久世くん。
うう、今はなにを考えているんだろう?



「へぇ……第一音楽室がこんなふうになってるなんて知らなかった。ていうかここ、本当は入っちゃダメなところじゃないの?」

「あはは、うん、本当はダメなはずなんだけど……」
< 103 / 284 >

この作品をシェア

pagetop