君の甘い笑顔に落とされたい。




「体育の次が昼休みで良かったわね」
「はい、ほんとに……」


膝に貼られた絆創膏。保健室の独特の匂い。
目の前には心配そうな顔をする椎名くん。


「ねぇ先生、これって傷跡残らない?」
「ただのかすり傷よ。心配しすぎ」


クスクス笑う先生に、椎名くんはホッとしたみたい。
同じクラスになってからあまり話したこともなかったのにこうやって心配してくれるんだ……

椎名くんって本当に優しい人なんだな。


「あの、大したことないのにわざわざごめんね」


保健室を出て、廊下を歩きながら椎名くんにそう言う。


「全然!むしろ軽いケガで良かったな」


くしゃっと笑う椎名くん。
これは……久世くんに負けず劣らず人気者なのも納得だよ……

優しいし、人懐っこいし。
笑った顔はなんだか可愛いし。
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