悪党みてぇな貴族だった俺、転生した現代で小動物系美少女をふる
プロローグ~五歳で前世を思い出した俺の独白~
 物心ついてしばらく経つまで、俺はこれといった悩みもなかったと思う。

 生まれたのは金持ちの家で、俺は、使用人に世話をされるのを全く疑問にも思わず過ごし、欲しい物があれば当たり前のように手に入る生活を送っていた。

 変わった子だね、とよく言われたのは、兄たちと全く同じ良い教育を受けながら、俺の素行に荒々しさがちょいちょい見られたからだろう。それについては全く改善されなかった。
 外や対人に関しての礼儀作法は難なく出来ても、私生活ではドカリと椅子に腰を下ろしたり、足を開いて平然としゃがみこみ、言葉使いもまぁまぁ荒い。

 いや、まぁまぁというのは嘘だ。母が特に困っていた。

 俺がつい「ちぇッ」「クソ」と口にすると、今にも気を失いそうな顔をした。

 これで耐性が出来てくれればいいな、なんて考えていたと明かしたら、二人の兄たちにまたしても「冷た過ぎますよ!?」と言われそうな気がしたから、誰にも言わなかったけど。
 正直言って、今だってそう思っている。
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