悪党みてぇな貴族だった俺、転生した現代で小動物系美少女をふる
 前の席からこちらをじっと見つめていた拓斗が、ぱっと口に手をあてた。

「やっべ。もはやツッコミも出てこないくらい腹が捩れそうなんだけど」
「黙れぶっ殺すぞ」

 隣の彼女にぶつけられない絶対零度の声色で、理樹は間髪入れず、容赦なく一呼吸でそう言い返した。

「というかさ、マジであの保健室の話し合いで何があったんだ? 俺、てっきり仲違いしたのかと思ってたんだけど」

 そう言いながら、拓斗がちらりと沙羅へ目を向ける。

 担任教師の杉原が、壇上で「くッ」と目頭を押さえた。

「頼むからイチャラブとかやめてくれ、お前らなんで高校生なのにラブや愛で青春してんだよ。俺なんて年齢イコール独身なんだぞ…………」

 目頭を押さえて呟く杉原の肩は、震えていた。
 クラスメイトたちは、どうにか表情を戻したものの、口を閉じたままさりげなく理樹と沙羅の様子に注目する。

 すると、保健室での行動力を一体どこへやったのか、沙羅がスカートの上で指先を小さく動かせて、何か言いたそうにもじもじとした。ブレザー越しにも分かる形のいい柔らかそうな胸の膨らみが、腕の動きに合わせて寄せられて谷間を深くする。
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