君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜


「アイツさ、毎回電話するたびに、鈴ちゃんのこと聞いてきたよ。鈴ちゃんが告白されるようになっただろ?それ言ったら、アイツ、俺にキレてさ、お前何してんだよって毎回怒られたわ。さすがに俺も見守ることはできても、告白までは阻止できねーよって言ったけど。ウケるよなー。大学も俺は別だし、蘭と鈴ちゃんと長谷部も同じ音大だって話したら、我慢できなくなったんだろうな。今日電話繋げることになったわけ。アイツも頑張ってたからさ、俺も結局ほっとけなくて」


ハハ、と勇也くんは照れ笑いした。


この離れている一年間も、奏が私のことを想っていてくれたんだと思うと、心がじわっと温かくなった。


「アイツ変わらないわねー、なんか安心した」

蘭ちゃんもそう言って笑っていた。


奏がいなくて、どこか霞んでいるように感じていた一年も、今日でしっかり色付けされた様な気がした。


いつか来るその日までに、頑張っている奏に私も胸を張って会えるように、音大に行っても頑張ろうと、より強く思えた。



私たちの新たな始まりを祝福するかのように、3月の春風が優しく通り抜けた。



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