NGなきワル/バイオレンス長編作完全版!👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。

チャプター3/ブラック&スマート

本チャプターのあらすじ⤵

”占有者”ミカ・ウィルキンソン(旧姓鹿児島ミカ)排除を巡った北九州事案で、アメリカ・マフィアに単独でケンカを売った相和会と関西直系I組との戦争終決を前提とした、極道業界全体が容認した熊本抗争集結のシナリオ…。そのタマは、10年先を読んだブラック&スマートの”NGなきワル”、大打ノボルがぶっ放していた…。

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大打ノボルの秘められた黒い意思/運命の舞台、九州へ
ブラック&スマート!痛快な絵図①


”その舞台”は熊本市内T通り中心街の雑居ビル3階…、クラブ”ゼリアーノ”だった。

「…いいですか、ノボルさん。ゼリアーノのホステス亜里奈は、関西広域の枝である南洲一新会のチンピラと不倫関係にあったが、現在は切れてる。一新会とケンカできる口実が欲しい関東系列下の球磨黒組は、二人のぶり返しを計っているが、何しろ亜里奈の通う店は一新会の息がかかっているんで、親筋の利害関係もあって、うかつに近づけない…。それが前提になります」

「今一度確認するぞ。その店のバックは一新会でもかなりの穏健派が仕切ってで、関東サイドの有力筋にも顔が利くから、躊躇してるってことだな?」

「その通りですよ。そこは、あの連中の世界では侵しがたい一線ということになりますね」

「フフ…、いいな。”それ”ってよう、強面さん方のアキレス筋ってことだろう?すなわち、オレ達にとっては格好の”スキマ”ってことになる。ちなみに、そんな不便極まる慣習なんぞはスルーできちまうオレ達はだ、”そこんとこ”をドンドン武器にしていくぞ」

「ええ、承知ですよ。オレも奴らの弁慶の泣き所はニコニコ顔でガッツリ蹴り入れする。”そこ”に快感さえ覚えてますから(薄笑)」

「アハハハ…、それ最高だな!三貫野ってヤロウのこの手は、なんともいい…。よし!それってことで、オレが今夜からターゲットのお嬢さんの専属ドライバーを買って出るぜ」

ノボルがこのようにあからさまなハイテンションという場面は、極めて珍しいことであった。

「頼んますよ、ノボルさん。まあ、アンタの対女のスキルは今朝、ウチの店で働くみゆきへのファーストコンタクトで確認できたし。今度は役者ぶりをとくと拝見しますよ」

「お前の”覗き見”も名人級らしいな。以後、気を付けよう(笑)」

二人は交互にこぼれ笑いを交わし、盛んに嫌味のキャッチボールに興じていた。


...


”全く、三貫野のソツのなさには感心するほかないな。たかだか20年ちょっと地元で暮らしてるだけで、ここまでニンゲンの表と裏を赤外線レベルでリサーチでき、必要な掌握を常日頃から積み重ねることができるとは…。うん!こいつのそこんとこあたりは、横浜の連中にも見習わせなくてはな…”

夜11時半…、T通りの道端で車を停めて”待機”しながら、ノボルは三貫野が備えているスキルの重要度を自分に言い聞かせていた。

”さて…、女はもうすぐ現れる頃だ。何でも今日はアレで、早上がりらしいし…”

腕時計を目にして、ノボルは心の準備を万全に整えていた…。




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