とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
「俺、けっこうオタクだよ。わかるかもしれない」

「わたしのことより、詩優さんは? どんなの見てまし……見てた?」

もちろん興味があるわけではない。
彼にしゃべらせて、あとは適当に相槌をとってやり過ごそう、と思って訊いた。
こういうタイプにはとにかく話題を振って、しゃべらせておけばいい。

下手にこちらの情報を与えれば、遠慮なくどこまでも土足で踏み込まれるに違いない。

「呼び捨てでいいよ。詩優で。あ、兄さんが嫌がるかな」

「それはないと思う」

そう口にしてから、はたと気づく。
余計なことを言ってしまった。

「じゃあ、詩優で」

「はあ……」

「俺が好きだったのはね」

詩優さんはつらつらとアニメや漫画のタイトルを挙げていった。
わたしの世代なら誰もが知っているような有名作品ばかり。
やっぱり彼にわたしのバイブルはわかるまい。

「まあ、でも一番の名作漫画は喧嘩の花道だけど。あれを超える名作はないと思う」

「えっ……」
< 178 / 187 >

この作品をシェア

pagetop