好きになっちゃ、だめでしたか?
「どんな子? うちの生徒? それとも、中学一緒だった誰か?」

「つ、つうか、好きな人いたら留衣とこうして歩くわけねえじゃん」

 と言う蒼の反論に、それも確かにそうかも、と妙に納得させられてしまった。

 けれど、明らかに動揺しているのは事実で、絶対好きな子はいるはずだ。

「も、もしかして」

「え?!」

 今日一大きい反応を見せる。やっぱり、好きな人いるってことだ。

「一華? 一華が好きなんじゃない?!」

 蒼の表情は一瞬にして真顔になる。

「なんでそうなんだよ、つかあいつ多分、お前の兄貴が好きだろ。昨日一目惚れしたっぽい」

「えっ、そうなの?!」

 と、驚かせられたのはわたしのほうだった。

「お前の兄貴見た瞬間、顔赤くなってた。ニヤついたら足踏まれた」

 蒼は、あいつまじ容赦ねーんだよな、と文句を言っている。

「ええ、そうなんだ。一華、お兄ちゃんのこと……。で、正直言うと蒼は? 誰が好きなの?」

「だから、本当にいないから」
 
 蒼の顔はいたって真面目で、さっきまでの動揺がない。

「ふうん、そうなんだ?」

 だけど顔が赤いのは事実で、その顔を見られないようにか横を向いている。

 絶対好きな人がいるときの反応なのに、と思いつつ、これ以上深掘りするのは止めておいた。

 およそ1時間後、文化祭は終わりを迎え生徒たちは片付けにはいる。

 わたしたちのクラスはあまりものがない分、すぐに片付け終わり、キャンプファイヤーを楽しみにしている人たちはすでに校庭に出て行った。

 文化祭の最中の賑わいも好きだけど、終わったあとの開放感も好きだった。

 空はいい感じに暗くなって、星が見えはじめている。
< 101 / 131 >

この作品をシェア

pagetop