君と二人でいられること。

あれから

「って感じで、パパとママは仲直りして、卒業してから結婚したんだよ」

「パパ、かっこいいね」

「でしょ?」

私の膝の上で楽しそうに私の話を聞いていたのは、娘の冬美。

あれから私たちは、5位という惜しい形でゴールデンカップルを逃したものの、結婚という形で二人でいつづけることを選んだ。
夏也くんはセブンオーシャンに就職し、私は夏也くんに勧められて専業主婦となった。二人の間にできた子も、今ではもう5歳になった。

私はもう、1人じゃない。

夏也くんとの出逢いが、私を変えてくれたんだ。

「ね、パパになんてプロポーズされたの?」

「え?えっとね、」

娘にそんなことを聞かれる日が来るなんてと少しためらいながらも、あの日から一度だって忘れたことのない言葉を言おうとしたとき、玄関から愛しい声が聞えてきた。

「ただいま~」

「あ、パパだ」

「じゃあ、続きはまたね」

え~?とふてくされながら私を見上げる冬美の頭をなでているとき、

「何の話してたんだ?」

と、彼の声が聞えてきた。

「あ、パパ!今ね、パパのプロポーズの言葉聞こうとしてたんだ!ね、何て言ったの?」

「教えませんよ~」

と冬美をからかった。

その後催促されたものの、彼は教えはしていなかった。
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