世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!

序章

 私は世界一可愛い。
 西洋人形のような大きな目と長いすだれまつ毛。
 小顔で鼻が高い。陶器のような白い肌。
 背は平均的ぐらい。
 お家は親が経営者だから、あんまりお金に困ったことがないし、貧乏育ちはフィクションだと思っている。
 子どもの頃から周りや家族からチヤホヤされるのが当たり前で、据え膳上げ膳で生きてきた。
 中学生ぐらいになると、同級生の男子からモテるようになって、私と付き合いたいなら言うこと聞いてよねと、召使いのように扱ってきた。付き合う気なんてさらさらない。モテる私のステータスが欲しいだけだ。
 学校の男性教師も当然媚びを売る。
 勉強はイマイチだけど、日頃の行いにより、いいとこの高校にいけた。
 有名な学校なだけあって、求められるレベルは高い。
 みんなコツコツと頑張ってきた人ばかりだ。
 私はろくに勉強しなかったから、いつも進級の危機に陥っていた。
 持ち前の据え膳上げ膳メンタルと、両親がお金積んでくれたお陰で卒業できたし、コネで有名大学いけた。
 大学でも講義にロクに出ないくせに、進級だけはしたいから、両親のコネをつかって卒業できた。

 ――自分の力で何か成し遂げるということをしたことがない。
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