世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
4章

1

目が覚めるといつもとは違う寝心地のベッドと布団。なんか固い。
 起き上がると、コスモスの花が模様になった布団と枕があった。
 うちのじゃないと思う。
 ゆっくりとベッドから立ち上がってカーテンを開ける。まだ日は昇っておらず、夜の帳が降りたまま。
 スマホで時刻を確認すると5時だ。
 いつも来ている冬用の分厚いパジャマが全身に冷たさを通る。
 電気をつけると現実に戻された。
 そうだ、自分は家じゃなくてマンスリーマンションに来たんだ。もう3日目の朝。
 身支度整えて、昨日近所のコンビニで買ってきたパンと自宅から持ってきたスティック型のカフェオレを朝食とする。
 リクライニングチェアに座ってテレビをつけてのんびりくつろぐ。
 テレビはお天気キャスターのお兄さんが、今日の外出時の服装や低気圧が近づいているので、体調崩しやすいひとは気をつけてくださいと呼びかけている。
 気温が4度。通りで寒いわけだ。
 退院の日、妻と娘とそして兄が来た。
 兄と娘にすぐに車に連れ込まれるかのように。
 妻は来たものの、最後まで家に連れて行こうとしたので、兄が止めた。まだこの状況で自分の立場が分かってないなと思った。
 そして兄が借りてくれたマンスリーマンションにしばらく妻と離れて住むことになった。
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