世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
 私がいないと、みんな和気藹々としてて、スキンシップもある。可愛がられてる。
 なのに私には……あれこれしてくださいとか、雑談振ったら今その話する必要ありますかと突き放される。
 特に若いスタッフ達。
 まるで私と話したくありませんと言わんばかりに。
 むかついたからちょっと《《懲らしめてやった》》。
 仕事道具隠したり、恋愛のこと聞いて、恋人いないのをからかったり。
 歯を食いしばってる女性スタッフが面白かった。
 私に逆らったら社長に言うと脅せばあっさり言うこと聞いてくれた。
 20代の子や高校生のスタッフ達にとって、上にチクられるほど怖いものはないから。もしかしたらクビになるかもしれないという恐怖心を植え付けられる。
「そういうとこだぞ。当たり前だ。キミがやったことは全て報告に上がってる。真面目に仕事しない、覚えない。その癖プライベートに土足で入り込んでくる。今どきの子がそういうの嫌がるって知らないのか。テレビやネットで散々言われてるじゃないか。キミは浦島太郎かな?」
 遠回しに時代遅れであることを指摘される。
 結花は歯を食いしばって黙り込む。
「まずは、言葉遣いとマナーの勉強だ。現場に出るのは100万年早い。返事は?」
 俯いてはいと弱々しい声で返事した。
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